sametimeme's diary

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金を貯めるな、旅に出よう

 若いころ、初めてのアルバイトで20万円を貯めた。古谷実の「グリーンヒル」を読んで以来ずっと欲しかったバイクを買うために使おうとしていたが、ちょうどその頃ネット上で親しくしていたカメラマンのおっちゃんにその話をした所、

 「バイクなんて、盗られたら終わり。だから、その金で旅行に行きなさいよ。旅行にいった体験は、誰にも盗ることができないよ。それに、バイクはいつでも買える。でも、勝手気ままな旅行は、今しかいけないと思うよ」

 というアドバイスをもらい、それに素直に従ったのだった。

 旅行にいくと決めると、じゃあ行き先は、持ち物は、どうしようかと悩み始める。そこで、一人旅に慣れている知り合いの大学教授に話を聞きに行き、荷物はできるだけ軽くシンプルにすること、ツアーを多く出す旅行店が集まるようなところを拠点として、旅をすればいいという事を教えてもらった。

 地球の歩き方を握りしめ、小学校の頃つかっていたSPALDINGのだっさいリュックを背負った僕は、初めての海外一人旅でタイのバンコクに向かった。

  旅は道連れというが、タイの空港で入国審査をしている時に早くも同じような年頃の、ふたり旅の女子大生と仲良くなった。結局行き先が同じだったため3人で行動し、別々の宿を取ったがそのまま待ち合わせて飲みに繰り出した。飲みに行った先でも、タイに住んでいるという日本人2人と仲良くなって色々と話をして、深夜3時まで盛り上がった。

 アジアの中規模都市という印象だったバンコクだが、いざ一人できてみると一日で4人も仲良くなって一緒に飲んだ。これは、大抵世界中どこにいってもなにかしら日本人はいて、それによって仲良くなろうと思えばなれるんだという事を学ばせてくれた。

 次の日の朝、2人の女子大生が僕の宿を訪ねてきて、観光に誘いに来たのは覚えている。どうせ荷物は枕にしておりドアの鍵もかけず寝てたので、「うわっ開いてる!」と笑われたのを覚えている。が、飲み過ぎた僕は完全に死んでいて、先にいっていて下さい、とお願いしてそのまま二度寝してしまった。そのまま昼過ぎに僕は宿を発ってしまったので、連絡先も交換していなかったこの二人とはその後再会する事は無かった。

 確か、FujitsuのFinepixというデジタルカメラを持っていたので、初めてのアジアを思う存分カメラに収めた。街の光景や動物、人、寺、乗り物、自分、色々と撮って、帰国後何度も何度も見返した。見返す度にバンコクの熱気の匂いを感じるような気がして、嬉しかった。

 当時はサーチャージが無く、関空とバンコクを2,3万円台で往復できるような時代だった。それでも貧乏学生には大金であったが、バイクを買わずに旅行に行って良かった、と、帰ってきてからはよく思ったものだ。

 

 金がたまったら、旅に出よう。

 これは10代後半〜20代前半の人には特に言いたい。

 その歳で貯めれる金なんて、たかがしれているものだ。せいぜい数十万、ちょっと金もってるボンボンで数百万円という所だろう。その程度の金は、例えばごく平均的なサラリーマンであれば、1,2年で遊びながら貯めれる程度の金額なのだ。子供にとっては大金だが、社会的に見ると取るに足らない金額である。が、彼らには社会人達はもう二度と得られることのない価値がある。

 若さと、時間。

 この2つはいくら金を積んでも、もう手に入らない。この2つの付加価値が、取るに足らない貯金を、まるで黄金の山のように光り輝き、ワクワクさせるものに変えてくれる。若さx時間x小銭、これはその後の人生を通じて心の拠り所となる宝物を手に入れるために、とても大事な方程式と言える。

 国内であろうが国外であろうが構わない。日常を離れ、異文化に飛び込んでいき物理的な世界の広さと、精神的な価値観の多様さを、いろんな形式の違いや感覚の違いから学び取るとよい。いかに主観が頼りなくてちっぽけなものか、いかに世界は不思議で見たことの無いものに溢れているか、いかに人生とは生きる価値があるのか、そういうものをたくさん見せてくれる。カメラにおさめ、いつでも思い起こさせてくれる。

 何も知らずに海外をフラフラするなんて、若い時にしか許されない事だ。

 30半ばや40を過ぎて、思い立ったようにアジアをフラフラしている汚い格好の日本人がいる。彼らには、若い頃にそういう発見が無かったために、つまらない日常になってしまた日本での生活に疲れ、海外にいけば何かいいものが有るのではないか、自分に奇跡が起こって何か変えてくれるのではないか、となんとなく居心地のいいアジアで沈没したりする。それに、ふと思い立ってアジアやヨーロッパを旅しようと思っても、資格もコネもその先の見通しもないただのサラリーマンが、そのために仕事を辞めて日常を離れるなんて、みっともなくてカッコ悪い。

 だから若いうちは、金を貯めてテレビや新しいiPadを買おうなんて、つまらない事を考えるのはよそう。航空券も安宿情報もネットで気軽に手に入る便利な世の中だ。あと少しして痛い大人にならないように、いますぐ、旅に出よう。