sametimeme's diary

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勝負は公平であるべきという世迷い言と勝負の本質

どこかのサイトの昆虫の交尾写真を模写して出版したという、『昆虫交尾図鑑』がネットを騒がせているようだ。元写真をとった写真家はご立腹で発刊元に発行差止めをメールで求めた見たいだが、発刊元の出版社からは、著作権侵害には当たらないからこれ以上言うなら法廷でね?的な回答があり、一層の盛り上がりを見せている。

写真家は、一度振り上げた拳の降ろしどころに困惑している事だろう。

Next Action

このまま黙っているのは相手の主張を認めたことと同じだし、かといって民事訴訟に持ち込めば莫大な金と時間をかけて勝てるかどうか分からない闘いに身を投じる事になる。また、Wikipedia等を読む限りは著作権侵害は刑事告訴も可能だが、著作権侵害の事実をなすには、『類似性』か『依拠性』の条件を満たさなければならず、これも微妙な線ではないかと考える。依拠性を言うには昆虫の交尾というものが一般的すぎるとも思えるし、類似性を唱えるには、昆虫の交尾写真に写真家の特徴が果たしてどれだけあるか、というのが疑問だからである。

もちろん、苦労して撮った貴重な瞬間の写真を他人に勝手に模写され、出版されたのではたまったものではない。その気持は大変よく分かるのだが、模写といっても節足だけの模写でほかはオリジナルであるとか主張されれば、証拠の固めようが無いように思われる。逃げ切る手法を存分に弁護士と打ち合わせた上で、出版社は売られた喧嘩を真正面から買ってきたのだろう。

個人vs企業、グレーな犯罪性、資金余力と収益性、負けた時のダメージ、あらゆる面で出版社の方が有利なように思える争いである。たとえ勝てると信じていても、これでは訴え出る心も折られる事だろう。ネット上では無責任な焚付ばかりだが、この写真家の心中、察するに余りがある。きっと今この時間(3:00JST)も、眠りにつけず苦しんでいるのではないだろうか。

2CHを読んでいるとこれでは写真家にとってあまりに不公平だ、と憤る意見も見られるが、しかしこれは当然である。こんな大々的に話題になるような喧嘩であっても、勝負とはハナから不公平なものであって、だからこそ勝負になるのである。

『公平』という世迷い言と勝負の本質

勝負がすべからく公平であるべき、というのは世迷い言である。

勝負とは、相手にとって有利な状況では避けるべきもので、自分にとって有利な状況では仕掛けるべき物である。が、勝利の価値は前者の方が高く、後者は低い。リスクとリターンの天秤にほかならない。

株の世界でもビジネスの世界でも賭け事の世界でもこれは同じで、勝負の本質なのである。勝っている人は勝負している。さらに、勝っているように明らかに見える人は、勝てないような勝負に幾度となく勝ち、その対価として大きなリターンを得ているからこそ、明らかに勝っているとわかるのだ。

勝負をしないと負けないが勝てない

大企業にどっぷり使ったような人達の思考回路の一つとして、『出世したいから波風を立てずひっそりと仕事しよう』という思考がある。これはある面では当たっているものの、大きな矛盾をはらんでいる。出世というのは、並み居る同列の人間を押しのけて一つ頭を出し、指示を出す立場に昇進するという事である。つまり、勝たなければライバル達を押しのける事などできない。波風を立てない仕事をしていても勝負には勝てないし、だから、出世できないのである。

「アイツは人の手柄は自分のものにして、自分の失敗は他人に押し付ける癖に、出世しやがって…」という批評を聞くことがある。

これはつまり、アイツ君は勝負をしているのである。だが、残念ながら力及ばず負けることがある。勝負をかけた分負けのリターンもでかいのだが、人間関係や力関係の操作により、その負けのリターンの一部もしくは全部を、他人に移譲し自己へのダメージを軽減させているのである。そして反対に、成功した時の大きなリターンは、できるだけ自分に集まるよう調整するのである。

勝負をするから勝ちも負けもある。だから、勝ちを出来る限り最大化し、負けを出来る限り最小化する。その結果として、「人の手柄は自分のものにして、自分の失敗は他人に押し付ける」人、つまり悪いやつが出世するのだ。

勝負する人/しない人をいいやつ、わるいやつに分けて、勝った時と負けた時の成果をPOINT化してみてみる。勝負する人は当然勝負の頻度が高いので、5年後のPOINT総数まで試算してみた。

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勝負をしないいい人は、いつまでたっても成果が無い。反面、勝負する人で悪いやつは、圧倒的にPOINTが高い。これでは、誰が上司であっても昇進させるはずである。上司は部下が上司を見るほど部下を見ない、というか見ている余裕がない。なぜなら、部下よりもっと強大な上司や権力に立ち向かうのが役割だからである。こういうわかりやすい成果を持って、実績を残す人を取り立てるのが昇進というプロセスなのだ。

不公平な勝負を繰り返せ

つまり、成果を残すためには大きな勝負に頻繁に挑み、そこから得られるリターンを最大化し、リスクを最小化する、という行為が必要となるのである。

昆虫写真家はネットによると好戦的で訴訟合戦でも受けて立つような物言いらしいが、それが彼の成果に繋がるのだろうか。たぶん、その時間と労力でもっとよい昆虫写真を撮りに海外に出かける方が、遥かに彼の成果に繋がるような気がしなくもない。だが、自分の撮った写真とその対象物とに抱く並々ならぬ愛着を、収めるすべを持たないのであろうというのも理解できる話なのである。いい人なのである。

あなたは、(たぶん)昆虫写真家ではない。だから、いい人に徹する必要はない。社会とは、5年後に85ポイントを得るような行動を取るほうが、遥かに楽しく、エクサイティングで、達成感もあって満足な仕事ができるような仕組みになっているのである。大きな勝負に頻繁に挑み、そこから得られるリターンを最大化し、リスクを最小化する。

文字にすると簡単なこのコンセプトを心に摺りこんで、明日もネクタイしめて会社にいって来てください。