sametimeme's diary

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キャリアチェンジ時の情報収集の思い出

僕はあるとき、キャリアチェンジを考えコンサルタントという業種の門を叩いた。その時に感じたことを、最近つとに実感するようになったので、ここに書き留めておこう。

まずは、僕がキャリアチェンジを考えた時、どういう流れでどう情報収集をしたか、について。

比較的手を動かすことが多い専門職だった僕は、ある頃に色々な事情が重なり、違う仕事をしたいと思うようになった。

20代中盤の若造がこういう事を考える時、だいたい10人中7人くらいが『コンサルタント』というキーワードを出してくるものである。(僕は後輩やその知り合いなどからキャリアについてたまに相談を受けたりする事があるが、その時にもコンサルタントになりたいんです、という人のなんと多いことか。なんでやろね。)

とかいう僕も御多分にもれず、そういう若者の一人だった。そこで、とりあえずコンサルタントの先輩数名を訪ねて話を訊いてみようという事になった。本当に自分に向いてなさそうなら辞めるし、向いてそうなら決意が固まると思っていた。

こういう、いわゆる先輩訪問というやつは、都心の駅隣接ビルの上階で、街中を見下ろしながらちょっと豪華な会議室で向い合って話をしているうちは、あまり有用な情報は訊けないものである。こういう「アポ」はほんの挨拶にすぎず、本当の先輩訪問は、その後から始まる。どういうことかというと。

効果的な先輩訪問

オフィスや会議室では、先輩は心を開いてくれないのだ。だから、話の内容も建前や一般論が主なものになるし、表層的な会話に終始してしまう。1時間たって、ああ、たくさん喋ったなあと思って振り返ってみても、誰とでもできそうな当たり障りない話題しか無い事に気づく。せっかく足を使って情報収集を試みたのに、ネットで10分検索すれば出てくるような話しか訊けなかったりするのだ。

だから、大事なのはその後である。

食に訴える

例えば、ミーティングをわざと11:00からにセットして、その後のランチに誘う。そんなとき、社食なんかではなく、「ここら辺りで、何かおすすめのお店はないですか?」と訊くのである。業務とは無関係な質問なので先輩も素直に教えてくれる。

次に、そのお店に向かう道中、たとえば地域にまつわるエピソードでもいいし、向かう先のお店のメニューに関するエピソードでもいい、相手が親しみをもってもらえそう、かつ突っ込んでくれそうなエピソードを話題にする。「そういえば昔彼女とこの駅でデートして喧嘩して別れちゃったことがありまして…」だとか、「焼き鳥といえば砂肝が好きなんですが、こないだいった◎◎というお店のぼんじりがとても美味しくて…」だとか、そういうのでいい。

盛り上げる必要はないが、こちらの弱みをちら見させ、相手を少しリラックスさせるのだ。

最も大事なのは、食事が終わった後、である。うまくいけばカフェでお茶やケーキでも食おうか、となるかもしれないが、上手く行かなくても最低限は帰り道で一緒に歩く事になる。そのときが、チャンスである。昼食により満腹となり、頭へ循環する血液量が減少し判断力が鈍り感性が高まる、その瞬間に、キモとなる質問を畳み掛けるのである。

「こういう業種ってXXみたいなのが辛いんじゃないんですか?」「やめたいと思ったことはありますか?それは何故ですか?」「正直、私に向いてるでしょうか?」「同業だとここがいい!っていう会社って、ありますか?」「この業界でやっていくのに、私に足りなさそうなものってなんですか?」とか。会議室では中々訊けなかったような質問を、この瞬間に、するのである。もちろん、限りなく軽いノリで。

昼飯を食べて気持よくなっている相手は完全にガードが下がり、驚くほど素直にこういった質問に答えてくれる。その場はかるーく訊く、もしくは適当に聞き流すようなフリをして、後で必死で思い出してスマホでメモを取ればよい。こういう風に得た情報が、ほんとに後で役に立つ情報になるもんだ。

趣味に訴える

趣味の話題!?ベタベタやんけ!と思うなかれ。

当然ながら相手も人間であるので、趣味の一つや二つは持っている。例えば相手の趣味が映画鑑賞だとわかれば映画に関する話題を出し、モータースポーツが好きだと分かればそういう話題を出していけば、相手は自然と会話に気乗りしてくるものだ。

単純な戦法だが、相手の心を開くという意味では趣味の話をするのはとても効果がある。それを通じて自分の人間性を見せ、相手の人間性を知りたいというアピールをする事ができる。人は、たいていは、自分の事を知りたがっている相手に対して、そう悪い感情を持たないものである。趣味であれば利害関係は消失するので、純粋に興味からの質問として気軽に話題にできる。

そういう話題にさりげなく混ぜる形で、聞きにくいような事をサラサラっと訊いていくのである。

ある程度仕事ができる人間は、たいてい、仕事と同じくらい趣味を大事にしている。相手の懐の深さや、器を試す(相手の話の信ぴょう性を確認する)という意味でも、趣味の話題というのは役に立つ。

遠慮しない、恐れない。

何かの業界や未知のビジネスについて知りたい時に、一番よい方法はその中の人と会話する事である。だがしかし、あんな凄い人が自分に時間を割いてくれるだろうか、とか、ちゃんと話ができるだろうか、とか、そういうのを気にして話を聞こうともしない人があまりにも多いが、これは勘違いである。

僕の経験上、仕事が本当に出来る人、仕組みを本当に理解している人というのは、それを他人とシェアしたがるものだ。なぜなら、それが彼らの理解を一層深め、彼らの持つExpertiseの価値を上げてくれる事だと知っているからだ。

だから、すごい人ほどどんどんアポのオファーを出して良いと思うし、きっとそれは驚くほどアッサリ受け入れられる。現に僕は、自分に明らかに不釣合いだと思うような人を何人も捕まえて、話をする時間をとってもらった。そういう人からさらに繋がりが生まれ、今でもお世話になっている人もいる。

袖すり合うも他生の縁、合縁奇縁、なべてそういうものである。会いたい人がいて聞きたい事があるのなら、まずはオファーを出してみるというのが重要であり、最も難しい事だ。

気楽な行為

ノルマがある訳でもなし、制限時間が有るわけでもなし、予算があるわけでもなし、レギュレーションが有るわけでもなし。

キャリアチェンジを目的とした情報収集は、就活と違ってとても気楽なものである。だから気長にやればいいし、有効だと思ったら何でも試してみるといい。いろんな人にあって、色々な話を聞くことが必ずいつか役にたつ。

 

そんな彼らのうちの一人から訊いたとても印象に残る話があったので、次のエントリででも書いてみようと思う。