sametimeme's diary

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マルチ・マルチまがいにつける薬なし

僕が初めてマルチ商法に接したのは、(幸いにして)大学生の頃だった。そう親しくもない程度のチャラチャラした(尚、当時僕はもっとチャラチャラしていた)茶髪ドレッドの先輩が、儲け話がある、として切り出したのが以下のような内容であった。

商品は、製造されてから流通過程でいくつものマージンを上乗せされて、最終的に消費者はその中間業者の給料を含めて商品に対して金を払っている。

俺たちは、本当によいものを安く、より多くの人達に買ってもらえるようなビジネスを考えた。そしたら、生産者から直接商品を仕入れて、中間業者を入れずにものを売ればいいと考えた。いま、この地区(大阪)では○○さんというリーダーがいて、その人を中心にこのビジネスが構築されていってる。

お前も俺たちのビジネスに参加してみないか?

なんとまあ、短絡的な思考である。さすがの僕も騙されなかった…と思いきや、あまりにも愚かだったのでその場では彼のあまりに剣幕におされ、ふんふん、と頷いてしまい、そのリーダーとやらに会いにファミレスまで出向く事となったのだ。

ファミレスでの会話はこうだ。

  • セーラーになるには、72万円払って研修を受ける必要がある。
  • ただし、自分の他に一人セーラーにさせる事で、28万円のボーナスが出る。
  • だから、3人セーラーに入れれば、それだけで利益が出る。
  • 商品を売ったら、○%のマージンがもらえる。自分の誘ったセーラーが物を売っても、いくらか報酬が割り当てられる。
  • 最初に研修さえ受ければあとはやめるも辞めないも自由。大量にセーラーを加入させたら、自分で商品を売らなくても稼ぎ続けられる。
  • 研修も、クーリングオフで支払ってから8日以内は返金できるので、安心して申し込んでほしい。
  • このリーダーさんは、この歳でベンツにのって月収200万ほど達成している。
  • ほかにも大学生で月収100万を達成したセーラーはゴロゴロいる。
  • 今のうちからビジネス感覚を身につけるのは将来役に立つ。
  • これから大阪で本格的に展開しようと考えている。是非、幹部として初期から参加してほしい。
  • これは、マルチ商法と呼ばれるビジネスでは、決して無い。

…などなど、である。もちろん、さすがの愚鈍な僕も、最後のコメントのところで怪しさ100%だと直感し、無理やりファミレスを離脱してからその知人とはそれっきり、である。後からきくと、同じような内容で何人も勧誘され、入会してしまった可哀想なやつもいるようだった。

いうまでもなくこれはマルチ商法で、似たような仕組みで色々な名前の組織が腐るほど存在する。その中には、巨大になりすぎて一つの宗教団体のような信者組織を形成したり、はたまた大企業の仮面を被って経済活動を行う輩も存在する。

さすがにこのBlogを読んでいるような人たちは、ダマされる事はないであろう。しかし、あなたがもし20歳やそこらの時に、真剣な眼差しでこういう話をされたら、すぐに『怪しい』と、気づけるだろうか?

記憶をひもとくと、マルチ商法について初めて学んだのは中学の家庭科であったかと思う。そのときに、世の中の詐欺商法、のような紹介プリントの中にこのマルチ商法、マルチまがい商法というのがあったのだが、多分、1,2分でさらっと説明して終わりじゃなかったかなあ、と思う。

こういう詐欺商法は、小学校や中学校で、もっとしっかりと教えるべきだ。それこそ、道徳の時間に教えるような内容だと思う。でないと、家庭でこのようなビジネスの話を親から注意されてない子供たちは、ちょうどお金が欲しくて欲しくてたまらない大学生くらいの年頃の時に、コロっと、騙されてしまうのである。

マルチに騙されたら、金も友人を次々と失い、貴重な貴重な若いころの時間を、詐欺行為の片棒を担がされ過ごす事になる。若さと愚かさの代償というには、あまりに重すぎると考えるのは僕だけではないだろう。

この世に盗人の種は尽きまじ、という名句があるが、同じくこの世に詐欺の種、マルチの種が尽きる事というのはないのである。

こないだふと、経営者つながりで知り合ったかなりの有名飲食店経営者と会食をしたときに、マルチに近いような儲け話を打診されたのだが、いつになってもいくつになっても、どこにいても、こういう話の種は尽きないものである。その有名経営者はそれなりにメリットを享受しているかのような事を喋っていたが、僕の目からはそうは見えなかったので丁重にお断りしておいた。

美味しい話などない、うまい話には裏がある。タダより怖いものはない。

どのような世界で生きていくにも、これらの金言は普遍である。3,4月は期末期初やら進学・卒業・留学やらで人々が浮かれる時期である。どうかそんなときにも、ちゃんと地に足をつけ、平常心をもって怪しい話を見抜いてほしいと願ってやまない。